大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

大阪地方裁判所 昭和50年(わ)1190号 判決 1975年12月24日

本店の所在地

大阪市福島区下福島三丁目三八番地

商号

株式会社 北吉商店

代表者

樋口信之

本籍

大阪市西淀川区福町二丁目一八四番地

住居

同市此花区西九条四丁目六番五号

職業

株式会社北吉商店代表取締役

氏名

樋口信之

生年月日

大正一二年六月六日

右両名に対する各法人税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官藤本徹出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人株式会社北吉商店を罰金五五〇万円に、

被告人樋口信之を懲役五月に

それぞれ処する。

被告人樋口信之に対し、この裁判確定の日から二年間その刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人株式会社北吉商店(以下被告会社という)は、大阪市福島区下福島三丁目三八番地に本店をおき、淡水魚類並びに貝類の仲買業等を営むもの、被告人樋口信之は、同会社の代表取締役としてその業務全般を統轄しているものであるが、被告人樋口信之は同会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、

第一、被告会社の昭和四六年四月一日から同四七年三月三一日までの事業年度において、その所得金額が一七、三〇七、八四二円で、これに対する法人税額が六、〇七〇、〇〇〇円であるにもかかわらず、公表経理上売上を除外するとともにたな卸の除外、商品の簿外仕入、並びに経費を簿外支出する等し、これによつて得た資金をもつて簿外預金・有価証券を蓄積したほか被告人樋口信之らにおいて現金を配分するなどの行為により、右所得金額中一六、〇七五、六五四円を秘匿したうえ、同四七年五月二九日大阪市福島区亀甲町一丁目三番地所在大阪福島税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が一、二三二、一八八円で、これに対する法人税額が三一八、〇〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により法人税五、七五二、〇〇〇円を免れ

第二、被告会社の同四七年四月一日から同四八年三月三一日までの事業年度において、その所得金額が二五、七六二、〇七八円でこれに対する法人税額が九、〇五七、四〇〇円であるにもかかわらず、前同様の行為により、右所得金額中二二、八二三、三一四円を秘匿したうえ、同四八年五月三〇日前記大阪福島税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が二、九三八、七六四円で、これに対する法人税額が七一七、〇〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により法人税八、三四〇、四〇〇円を免れ

第三、被告会社の同四八年四月一日から同四九年三月三一日までの事業年度において所得金額が三二、四七七、五八九円で、これに対する法人税額が一一、五七八、〇〇〇円であるにもかかわらず、前同様の行為により、右所得金額中二九、四六一、五八四円を秘匿したうえ、同四九年五月三一日前記大阪福島税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が三、〇一六、〇〇五円で、これに対する法人税額が七七六 八〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により法人税一〇、八〇一、二〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

第一回公判調書中の検察官請求証拠目録(一)記載の請求番号1乃至77及び同目録(二)記載の請求番号1乃至9と同一であるから、これを引用する。

(法律の適用)

判示各所為は被告人株式会社北吉商店についてはいずれも法人税法一六四条一項、一五九条に該当するところ、、以上は刑法四五条前段の併合罪なので、同法四八条二項により各罪所定の罰金額を合算した金額の範囲内で同被告人を罰金五五〇万円に処する。

被告人樋口信之の判示各所為はいずれも法人税法一五九条に該当するので、いずれも所定刑中懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪なので、同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第三の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で同被告人を懲役五月に処し、同被告人に対し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から二年間その刑の執行を猶予することとする。

よつて主文の通り判決する

(裁判官 青野平)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例